響け! 心に!!

なんで「響いたのか?」をしちめんどくさく考えてみる、メンドウな人の考察。アニメ中心考察予定です。

色づく世界の明日から 6話感想、考察

バレを含みます。

セリフは適当聞き起こしです。

 

 

 

 

部の撮影会が、グラバー園で行われることになりました。

 

「こないだはありがとう。

 実は途中で変なものが見えたんだけど……

 突然、星と一緒に、金色のサカナが出てきたんだ」

 

瞳美の星砂は、プラネタリウムのようになるはずでした。

しかし、星砂によって起こった現象は、瞳美の見る世界だったのです。

 

金色の夕日が輝く帰り道。

星砂で部屋に現れた、金色のサカナのことが唯翔の口から語られます。

 

「あの魚は、俺が時々絵に書いてたものだと思う。

 小学生のとき、授業で描いた絵で、はじめて賞をもらった。

 そのときに描いたのが、金色のサカナだったんだ。

 どうしてそんなものが出てきたのか、わかんないけど」

 

「見せてもらえませんか?

 その写真」

 

瞳美は将から、絵そのものではなく、写真に撮ったものを見せてもらえることになります。

唯翔はサカナの絵を、瞳美に見せてはくれませんでした。

うつむき歩く唯翔は、それを見せたくなかったのかもしれません。

 

将に頼んだときのパソコンの波に輝く光の写真。

待ち合わせ場所の公園。

どちらもモノクロです。

 

公園にやってきた将の見せてくれたアルバム。

その中で、額に入ったサカナの絵だけが色づいています。


「展覧会のとき、撮ったんだ。

 賞をもらったとき、唯翔の親父さんがすごく喜んでさ。

 それから絵を描くようになったんだ。

 唯人ってそういう話、あんまりしないんだよな。

 自分のこと話すの、好きじゃないのかも。

 アイツ繊細だから」

 

こうして瞳美は、唯翔の語らなかった過去、あるいは語りたくなかった過去を知ります。

 

『唯翔の親父さん』とは、どんな関係で、いまどうなっているのか?

気になるところではあります。

 

お礼を言って帰ろうとする瞳美を呼び止める将。

家まで送ることになります。

 

 

 

魔法屋の建物の前で、ばったり!

あさぎと会う2人。

 

 

あさぎは前回を経て、動きはじめています。

つくったポストカードをみんなに見てもらうべく、魔法屋に置きに来たのでした。

 

――で、動き出すということは、なにがしかに躓く(つまずく)こともあるものです。

止まったままなら何も起こりませんし、進みもしません。

将が瞳美を送ってくるという事態に、思わず後ずさるあさぎ。

「じゃあ私は」と小走りに帰ってしまいます。

それを追いかける将。

 

「ポストカードつくったんだ、偉いな。

 あさぎ」

「将君止めてください!

 私もう、小学生じゃないんです」

 

あさぎは保護される立場から抜け出して、1人の女性になるべく行動しているのです。

 

 

 

グラバー園のコスプレ大会が、行われます。

楽しげな部員たち。

 

しばらくすると、それぞれに個人行動になったようです。

 

風景を撮る将。

頼まれたのか、3人組の女性を撮る千草。

 

そして瞳美は、唯人を見つけます。

ベンチに腰掛け、タブレットに描く唯翔。

 

いつぞやとおなじように、画面をグシャグシャにしてしまいます。

うしろから近づく瞳美は、悲しい表情。

 

すると金色のサカナが飛び出し、色が瞳美を囲みます。

暗がりの通路を抜けると、そこは雨が降り、足元には花火や観覧車。

もちろんあの、金色のサカナもいます。

 

歩いていく瞳美。

すると雲が多くなり、やがて何度もタブレットに書いていた、画面をグシャグシャにする黒が。

 

ということで、はじめに瞳美が通路から見たものは唯翔の過去ですね。

金賞を取った、あの頃でしょう。

だんだんと歩き進めると、年を経て曇っていき……

グシャグシャにする黒い線は、最近のことをあらわしているように思います。

 

「どうしたら帰れるんだろう?

 誰かいませんか?

 誰か―!」

 

瞳美が誰かを求めたことで、それは核心に近づきます。

ここは唯翔の絵の中ですから、呼べば返事をするものは1人しかいません。

語らない繊細な唯翔の心に、どんどん近づいていってしまう瞳美。

 

荒れた砂漠を通り、ついた先はサカナの死骸。

通路を抜けてはじめに見た、楽しげな世界はもう、ここでは廃墟と化しています。

観覧車も埋まっています。

 

さらにその先。

色づいているのに、不吉な様相の沼のような場所が。

 

そこには網を持った男が、不気味な黒で存在しています。

男は腰をかがめ、小さなサカナを狙っています。

自分が沈みゆくことに気づかず、ひたすらサカナを求めて進みます。

 

「それ以上行っちゃダメ!」

 

沼の中に沈んだ男は、もう見えません。

沼の中へと追いかける瞳美の前には、死んで浮かぶサカナが。

 

そこで瞳美は目覚めます。

 

「大丈夫、月白さん」

「わたし、いま……

 葵先輩の絵の中にいた」

「絵の中に、入る魔法があるの?」

「わかりません。

 ひとつ怖いことが」

「なに?」

「絵の奥まで進んでいったとき、すごく荒れた場所になって、色とかもグチャグチャになってて」

 

驚く唯翔のカット。

 

「黒い影みたいな人がいたんです。

 ずっとサカナを追いかけてて、捕まえられないみたいで。

 もしかして、あの黒い人が邪魔をしているのかなと思って。

 そうだ、琥珀に相談してみたらどうですか?

 夢占いみたいに、何かヒントが見つかるかもしれないですし」

「いいよ!」

「でも、もし悩みとかあったら」

「いいって!

 心配してくれるのはありがたいけど、俺、全部話さなきゃいけないの?

 カウンセリングでもするつもり?

 魔法使いって、何様」

 

 言い過ぎたと気づくも、席を立つ唯翔。

 

瞳美は自分の身に起こったことに、興奮状態です。

落ち着いて考えるような時間もありませんでした。

あの黒い人とは、唯翔自身でしょう。

 

そしてどこまで話していいかを考えず、そのまますべて話してしまったのです。

それがどんなに当たっていることでも、だれかに秘密を知られる、覗かれる、予想される……

そんなこととは、嫌なものです。

たとえどんなに親しい間柄だとしても。

 

ましてやベンチに座るいまの2人の距離は、他人のそれです。

唯翔は逃げ出すように、そのまま帰ってしまいました。

 

 

 

屋根裏でうなだれる瞳美。

励ます琥珀。

 

「怒られるのもの、無視されるよりずっといいんじゃない?

 仲良くなれる気がするじゃん」

 

「大事なものほど棘があるからね。

 近づきすぎちゃったのかな。

 優しい距離が見つかるよ、きっと。

 棘で刺した方も、案外傷ついてたりするものだしね」

 

上手に励ます琥珀。

琥珀の中身はおばあちゃんではないか?

そう思ってしまうような、的確な言葉です。

 


さらに瞳美は、学校でも励まされます。


「こういう写真もあとから見ると、いい思い出になりそう」

「そうそう、お決まりの笑顔ばっかりじゃつまんないもの。

 それにね、絆って少し叩いた方が強くなるのよ」

 

 

 

叩いて強くなるものは結構たくさんあります。

鍛造なんてそうですね。

叩くとは違いますが、うどんなんて踏みつけてますからね。

そのおかげで美味しくなります。

 

 


この学校のシーン、ただのコミカルなシーンのように見えますが、意外と変化があります。

これまでの瞳美とは、嫌なことでもはっきりと口に出せなかったように思います。

頭に『怒りマーク』を貼り付けて、胡桃の「いい顔してるね、撮っていい?」に、「ダメです!」とはっきり主張します。

 

結果、顔は撮られてしまいますが、そこには感情の色があります。

それをあらわすかどうかは分かりませんが、胡桃にとられたあと、色見本のボードが映ります。

だんだんと、さまざまに、感情も色づいていくのでしょうか?

 

 

 

暗室を整理する瞳美が手に取ったのは、浅川砂波作品展の招待状。

先日の唯翔の買い物とは、どうやらこれのことのようです。


唯翔は1人、個展へ訪れます。

この雰囲気は、唯翔のかつての想い人でしょうか?

 

「先輩はなんで絵を選んだんですか?」

 

唯翔は自分の答えを先輩に求めます。

それは他人には透けて見えてしまうもの。

 

「迷ってるの?」

「最近なんか描けなくて。

 絵のこと言われたときも、後輩に逆ギレみたいなことは」

 

そこへやってきた2人。

琥珀と瞳美。

唯翔がやって来たときは降っていませんでしたが、外は雨。

 

傘を貸す先輩。

借りる唯翔。

 

それを見ただけで、なにかを感じてしまう瞳美。

踵を返して走り出します。

 

「風よ、彼の人へ!」

 

琥珀は瞳美の足を止めるべく、魔法を使います。

けれども傘を落としてなお、止まらない瞳美。

 

気づいた唯翔は走り出し、瞳美の傘を傘を拾ってさらに走ります。

追う唯翔を見た琥珀は、笑みを浮かべます。


「月白!

 月白!!」

「月白!

 オレ、描くから。

 いま描いてる絵、できあがったら、月白に見て欲しい」

 

はじめて唯翔から、はっきりとした行動を、言葉を、関心を向けられた瞳美。

その瞬間、世界は色づいていきます。

瞳美の乗る路面電車の先を、踊る金色のサカナ。

そのサカナのあとには、色があふれていく。

 


こうして唯翔は『先輩の傘を受け取らずに瞳美の傘を拾い、懸命に走って追いかけ、瞳美に渡すこと』を選びました。

つまりそれは、『先輩から答えをもらうのではなく、自分の力で懸命に描いて、誇れるものを瞳美に見せる』と、そう決めたのです。

 

 

それはこれまでにない、瞳美へ向けられるはっきりとした関心です。

スランプにもかかわらず、瞳美の望むように、『いま描いている絵を見せる』と宣言しました。

 

それは瞳美自身も求めたはずの、自分への関心です。

これまでに何度も、タブレットの絵が見たくて見たくて、それを覗き込もうとしていましたよね。

 

「ただいま」

「どうしたの! 瞳美!」

「さっき……

 色が戻ったの」


ずぶ濡れで帰り着いた瞳美。

『色が戻った』というには、あまりうれしそうではありません。

 

あまりの鮮やかさに当てられて、放心状態なのでしょうか?

色が戻ったのは一時だけのことだったのでしょうか?

自分自身や唯翔の感情に触れて、とまどっているのか?

 

どうやら来週へ持ち越しのようです。

 

 


持ち越しのようですが……

ここでは無理に想像を働かせてみましょう。

 

瞳美はこれまで、絵を見れば色づく。

『なんでかわからないけれど、そういうもの』と思っていました。

しかし、今回は絵を見ていません。

 

今回は唯翔の行動によって、瞳美の世界は色づきました。

ということは、色づくために必要なものとは『唯翔の絵』ではないのかもしれません。

 

……というか、もう絵ではありませんよね。

 

それに気づいてしまったのかもしれません。

それゆえに、瞳美はいろいろなことがわからなくなってしまったのではないでしょうか?


瞳美は60年後へと、帰ってゆくことが約束された存在です。

 

その瞳美が恋をしたら、どうなるのでしょうか?

 

そもそも、みんなで一緒に撮った写真は?

 

それぞれの記憶は?

 

……

 

 

こんなところで止めておきましょう。

 

 

「魔法は人を幸せにする、それから時々不幸にもする」

「注意してないと、自分の力に飲み込まれてしまうの」

 

琥珀の親子の会話とは、とても意味深です。