響け! 心に!!

なんで「響いたのか?」をしちめんどくさく考えてみる、メンドウな人の考察。アニメ中心考察予定です。

色づく世界の明日から 10話感想、考察

将の告白による余波が、あさぎと瞳美をギクシャクさせています。

 

 

登校するなりあさぎに避けられてしまう瞳。

さらに定番の廊下の角でぶつかるシチュエーション。

 

「えと、あの、今日は天気良くないね」

 

瞳美は顔を上げて天気の話を持ち出し、あさぎはうつむきがちに立ち去ります。

 

 

 

放課後の部活。

あさぎは瞳美を避けるように、外で撮影すると言って帰ってしまいます。

それを追いかける瞳。

 

昔の瞳美ならば、あっさりあきらめてしまうところでしょうが、3度目の挑戦です。

 

「あの2人、何かあったのか?」

「この男は!」

 

胡桃と琥珀の冷たい視線に、ひるむ将。

相変わらずあさぎの気持ちには気づいていません。

気づいているなら、そんな無神経な事は言えないはずでしょう。

 

 

追いかけた瞳美は勇気を出し、声を掛けます。

 

「なんか、このままじゃいけないって。

 自分勝手なのわかってる。

 でも、あさぎちゃんと話したい。

 あさぎちゃんはこっちに来てはじめてできた、大切な友達だから

 

そんな瞳美の言葉に歩み寄り、「甘いもの、食べに行きませんか?」と誘うあさぎ。

恋の話ではありますが、その内容は残念ながら甘いだけの話ではありません。

なので、酸っぱいベリー系のパフェです。

 

わかっていても怖くて踏み出せないあさぎは、自分の気持ちを瞳美に打ち明けます。

 

「将くんが瞳美ちゃんを見ているって気づいたとき、悔しかったです。

 私じゃないんだって。

 でも当然ですよね。

 だって私は何もしてこなかったから。

 怖くて踏み出せないんです。

 本当は瞳美ちゃんに嫉妬する資格なんてなくて……

 ごめんなさい」

 

涙ぐむ2人。

 

「ううん、私も。

 相談に乗ってくれてありがとう。

 うれしかった」

「私も追いかけてきてくれて、ホントは嬉しくて」

 

すべてを将のせいにして、一気にやけ食いするあさぎ。

さらに「カラオケ行きたいです!」とリクエスト。

琥珀に胡桃も、カラオケに合流します。

カラオケはもはやあさぎのストレス解消というより、琥珀と胡桃の大盛り上がりショー状態でした。

 

 

 

さて、あさぎと瞳美が仲直りしたところで、次の話題へ。

 

「魔法部は、絵の中にお客さんを招待する素敵なイベントをやろうと思いまーす!」

 

イベントを提案する琥珀の後ろの黒板には、再び『神奈川沖浪裏』が。

さっそく琥珀の大浪に巻き込まれる唯翔。

 

ファンタジー? 非日常?

うさぎの村、海賊船……

いっそのこと全部いれて!

 

結局、唯翔が絵を描くことになります。

 

 

 

帰り道の琥珀と瞳。

 

「あのイベントね、瞳美の話がきっかけで思いついたの」

「絵の中なら瞳美も、みんなと同じ景色を見られるよ!」

「その魔法、私にも使えるかな?」

「なに言ってるの!

 瞳がメインでやるのよ」

「ええっ、そんなの無理!」

 

唯翔に続き、琥珀の浪に巻き込まれる瞳美。

 

「絵の中に入る魔法は難しいんだよ。

 描いた人の心に触れる力が必要だとも言われてる。

 きっと瞳美は、これ系の魔法が得意なんだと思う」

 

魔法が嫌いで、たいした魔法も使えないと思っていたのに、『琥珀にさえできないことができる』という驚き。

さらに「これ系の魔法が得意なんだと思う」と言われたら、きっと嬉しいことでしょう。

 

「いっしょに頑張ろう!」と、琥珀ににぎられた腕をにぎりかえし、「うん」とうなずく瞳美。

帰宅後も練習に励みます。

 

 

 

「良かったな。

 瞳美となんかあったんだろ?

 仲直りできたみたいで、俺も安心した」

 

この2人は、将の鈍感さにあさぎがキレて、思わず!

……ということでもない限り、なんだか関係を動かすのは難しそうですね。

 

 

 

唯翔、瞳美、琥珀の魔法部イベントの準備を頑張るシーンが続きます。

 

「はい、ありがとうございます!

 図案は今度持って行きます」

「星砂時計作ってくれるとこ、見つかったの?」

 柳堂さんが紹介してくれるって」

「琥珀!!!」

「どうしたの?」

「……できた」

 

そこにはしっかり3分で戻り、机の上にキレイに整列する紙飛行機たちが。

成功を抱き合って喜ぶ、琥珀と瞳美。

 

 

 

そして今回のタイトル『モノクロのコレクション』が。

このタイトル画面、このあとの幼い瞳美の描く絵を意識してか、右上から左下へと太く黒く塗りつぶされています。

 

 

 

「それではいよいよ、皆さんを絵の中にご招待します」

 

真っ暗な教室のプロジェクターに映された、唯翔の絵の世界へ。

 

「一応確認しとくけど、安全なんだよな?」

「一定時間経つと魔法が解けて強制的にここに戻ります。

 ずっと2人で練習を重ねてきて、いまならゾウ10頭だって大丈夫ですよ」

 

琥珀と瞳が手を握り、魔法を唱え……

いざ! 絵の世界へ!!

興奮する部の面々。

 

「みんなー

 ジッとしてたらもったいないよ!」

 

琥珀は降ってきた傘にぶら下がって、1人で飛んで行ってしまいます。

唯翔と瞳美の2人を残して、みんな世界へ飛んでいきます。

 

「色、見えるの?」

「はい、とてもハッキリ。

 私、初めてみんなと同じ色を見られたんだって思うと嬉しくて、なんだか心がザワザワしてます」

 

絵の世界を訪れたはじめのほうのシーンに、瞳の見ている景色が挿入されます。

青空、力強い山、光、星、白い雲……

ですがその手前の部員たちは、あくまでモノクロです。

絵の中に入っても、外のルールは継続中のよう。

唯翔の絵は色づいていますが、中に入った部員たちはモノクロのまま。

部員たちを感動させるような魔法が使えるまでに成長しても、まだ足りないものがあるようですね。

 

「俺たちも行こうか」

「はい!」

 

唯翔と瞳美も、世界へと旅に出でます。

 

「あれ?」

 

そうして2人で森を歩いていると、見覚えのあるものが泳いでいます。

そうです。

あの金色のサカナです。

金色のサカナに導かれ、唯翔は暗闇の中へ。

いつの間にか消えてしまう、瞳美の姿。

 

「石?」

 

消えた瞳美のかわりに、石像になった制服姿の瞳が無表情に座っていました。

その隣には、高い高い扉がそびえ立ちます。

 

大きく重い扉を引き開けて中へと踏み込むと、今度は幼女の瞳美がいます。

そのまわりには、散らばるモノクロの画用紙。

まったく知らない人だったら、ちょっとしたホラーなシーンです。

閉ざされる扉、暗い部屋、折れたクレヨンたち、ひたすら黒を塗る幼女。

 

「お姫様、かな?

 そっちは女王様?」

「……会えないの」

 

ボソッと呟く幼い瞳美。

画用紙に描かれた2人。

片方は泣いていて、真ん中には2人の間を断絶する、大きな黒い川。

会えない2人のために、唯翔は川を「渡れるよ」と描いて差し出しますが、すべて拒絶されます。
モノクロの船、モノクロの鳥、モノクロの虹の橋……

 

「いらない」

「どうして?

 渡ってもいいのに」

「ダメ」

「どうして?」

「わかんない」

 

画用紙を差し出す瞳美。

 

「描いていいの?

 じゃあ、一緒に描こうか」

 

そうしていっしょに並んで描きはじめると、時間がやってきます。

 

プロジェクターの光を受けて、スクリーンの前ではしゃぐ5人。

かたや、暗がりで現実に戻る2人。

 

瞳美の頬には、流れ落ちる一筋が。

 

「俺、瞳美に会ったよ。

 小さな頃のひとりぼっちの瞳美に」

 

 

 

絵の世界の中で、瞳美の秘密の内面を覗いてきた唯翔。

第六話、『金色のサカナ』で行ったグラバー園の藤棚の下で、瞳美は唯翔の内面を覗き込んでしまいました。

組み合わせになるシーンで、お互いの過去を知ります。

瞳美の魔法をキッカケにして、『相手への自己開示』と『自己の再発見』が行われました。(瞳美の再発見はこのあとになります)

 

 

 

母は魔法が使えませんでした

 代々続く月白家で初めてのことだって、親戚の誰かが言っていた気がします。

 だけど私は使えて……

 ある日突然、母は出て行きました。

 どうしていなくなったのか?

 なんで私を連れて行ってくれなかったのか?

 理由はわかりません。

 きっと罰なんだと思います。

 魔法が使えた自分に浮かれて、母の気持ちにも気づけなかったから」

「そんなの、小さな子供には無理でしょ」

「それでも、やっぱり私のせいなんです。

 魔法なんてなければ」

「違うよ、魔法のせいじゃない。

 瞳美のせいでもない」

 

内罰的な瞳美。

瞳美のせいではないと唯翔は重ねて言いますが、瞳美はそれを受け入れられません。

それでも唯翔はあきらめずに語りかけます。

 

「お母さんのこと好きだからって、瞳美が耐えなきゃいけないのは間違ってる」

「やめて!」

「なにがあったのか知らない。

 知らないけど、瞳美のお母さんだって——」

「——やめてください!」


1話で過去行きのバスに乗ったときに見た、家を出る母の姿が。

 

「追いかければいいのに、できなくて。

 お母さんのバカって言えばよかった。

 私のバカ!

 私のバカ!」

 

号泣する瞳美。

  

「魔法なんて大嫌い。

 お母さんを奪ったものだと思ったから。

 ずっとずっと、嫌いだった。

 でも……」

 

 

 

『嫌いだった』と過去形になり、『でも』という逆接で終わる……

 

瞳美の子供時代のキズに、唯翔が『瞳美のせいではない、瞳美が耐えなくていい』と許しを与えました。

そのことにより瞳美自身も、過去に言えなかった『母への怒り』と、『母を追いかけられなかった』、『母に言えなかった』自分への怒りを認め、はじめて口にすることができたのです。

 

これは瞳美の過去の再発見であり、いままでと違う考え方です。

これまでは、とにかくすべて『私のせい』で『魔法のせい』という思い込みだったのですから。

 

絵の世界の中で、幼女の瞳美は黒い川を渡れませんでした。

船でも鳥でも虹でも……

渡れませんでした。

それは幼い瞳美には、『母を追いかけられなかった』ということを意味します。

 

唯翔の尋ねる『どうして?』に『わかんない』と答えた瞳美は、幼いゆえに答えを持たなかったのでしょう。

そして大きくなってからはずっと、『私のせい』『魔法のせい』と自分で自分を罰する理由を持つようになったのです。

それは『魔法なんて大嫌い』という理由そのものです。

 

そしていま、瞳美は唯翔の励ましを受けて、すべて『私のせい』というこだわりから抜け出し、スッキリして前向きになります。

 

「私は何をしに、ここへきたんだろう。
 私が来た意味」

 

サポートしてくれた唯翔と別れた瞳美は、1人で暮れていく空を見上げて考えるのでした。

 

 

 

ようやくここまで来たか、という感じです。

 

まだ「魔法が大好き」というほどになってはいませんが、唯翔や将、あさぎたちと積み重ねた出来事は、瞳美に確実に変化を生み出しました。

琥珀の星砂時計も作れる目途が立ったようですし、どうして60年前に来ることになったのか? そのあたりがわかるようになるのでしょうか。

 

残り3回ほどですが、どうなるのかな?