響け! 心に!!

なんで「響いたのか?」をしちめんどくさく考えてみる、メンドウな人の考察。アニメ中心考察予定です。

色づく世界の明日から 12話感想、考察

紙飛行機を追った先で、会いたい唯翔に飛び込んだ瞳美。

先週の続きからはじまります。

 

 

ベンチに腰掛ける2人。

唯翔は瞳美の手を握ります。

 

「また消えるの、心配だから」

「私、帰りたくない」

 

未来の世界のかつての瞳美……

それは色づくことのない暗い世界の住人。

 

「もしも私が魔法使いじゃなかったらこんなことに——」

「——そしたら、会えなかったよ。

 俺は瞳が魔法使いで良かった」

 

瞳美が魔法使いで、この時代の世界から消える存在であるとしても、瞳美を無条件に肯定する唯翔。

唯翔は瞳美にとって、自分を引っ張ってくれる存在です。

 

 

 

翌朝。

光が溢れるひなたへと手を差し伸べる瞳美。

 

「残された時間は少ない。

 でも……」

 

そして伸ばした手だけでなく、体ごとひなたへと進み出る瞳美。

 

「ちゃんと見つけたい。

 私がここに来た意味を」

 

 

 

ただみんなと離れて暗い未来の世界に戻るのではなく、この世界に来た『意味を持って帰りたい』。

そう思わせてくれたのは、唯翔が手を握ってくれたから。

そして『意味を持って帰りたい』ならば、未来の世界で起こったようなことではいけないのです。

母のように黙って去って行くべきではありません。

 

意味を自分から、進んで取りに行かなければならないのです。

そのためにいま、するべきこと……

それは文化祭をみんなと楽しむことです。

 

 

 

ついに南輝祭当日。

 

「まだ気持ちの整理はついていないんですけど、文化祭の二日間はみんなと過ごしたいと思っています」

 

「みんなで目一杯楽しもう!」

 

『MSB』

 

イマイチなセンスのお揃いのTシャツの登場です。

視聴者の気持ちを十二分に代弁する千草。

 

 


ここからは文化祭の光景です。

それは、たとえるなら収穫祭。

 

繰り返し繰り返し、何度も何度も提示されてきた、それぞれの努力が結果として見られます。

 


勇気を出して自分で営業し、ポストカードを手売りすることに成功したあさぎ。

 


「魔法が上手くなったね。

 こっちに来たばっかりの頃は、何もできなかったじゃん」

「未来の大魔法使いが太鼓判押しちゃうよ!

 さすが私のお孫ちゃん」

 

琥珀に魔法を褒めてもらう瞳美。

 


「私たち絵の中に入ってたんですけど、アレ先輩が書いたって聞いて!」

「展示してる作品も見たんですけど、すっごい感動しちゃって!!」

「サインください!!!」

「これからも応援してますから」

 

いきなりファンができて、「ただ名前を書くだけ」という、慣れていないことがバレバレなサインをする唯翔。

 


少しずつ育ててきたことの、果実を得る3人。

 

 

 

「すごい行列ね」

 

個展をひらいていた、OBの先輩がやってきます。

 

「たくさんの人に喜んでもらうのって、やっぱり嬉しいです」

「誰かのために書くのも、すごくいいことだと思うよ。

 これから君の絵に、良い影響を与えてくれるんじゃないかな」

「誰かのため……」

 

思い出される、幼い瞳美の姿。

 

 

 

次々に訪れる部員の家族。

胡桃の姉、唯翔の母、あさぎの父。

ちょっとした授業参観です。

 

 

 

「なんだか大成功だったんじゃない!

 絶対2日目はもっと人くるよ。

 リピーターもいるだろうし」

 

好評のうちに1日目の終了です。

 

「ねえねえ、みんなで記念撮影しようよ」

 

部員たちの一体感。
いい光景ですね!

 

 

 

月白家の夕飯のテーブルは、色づいています。

豪華でカラフルで、手の込んだ料理で埋め尽くされていて……

 

「瞳美とゆっくり食事できる最後の夜でしょう。

 せめて今日位は料理の腕をふるわないとね」

「ありがとうございます。

 あの、本当にみなさんにいろいろお世話になって」

「ハハッ、これくらい当たり前だよ。

 水臭いなぁ」

「それより琥珀。

 あなたは明日ちゃーんと時間魔法で瞳美を送ってあげてよ」

 準備は万全なんでしょうね?」

「わかってる」

 

うつむく琥珀。

 

「大丈夫よ、琥珀なら。

 なんたって私の孫だもん」

 

 

 

このあたり、『おばあちゃんが孫を励ます』という方向は、おなじ構造ですね。

琥珀が瞳美を励まし、琥珀はおばあちゃんに励まされます。

 

困ったり、弱ったりする琥珀を瞳美が励ますことはありません。

時間魔法で不安になるときは、毎回おばあちゃんが声をかけてあげていました。

帰り道も琥珀から瞳美の手を握りました。

ここでもおばあちゃんが琥珀の手を握っています。

 

 

 

話が逸れますが、瞳美の世界は基本的に受け身です。

それは分かり易すぎるほどに。

 

追いかけて傘を差し出したのも唯翔です。

幼い頃の瞳美の世界で、絵の中に描かれた母娘の断絶の川に「渡れるよ」と絵を書いて渡したのも唯翔です。

この話の冒頭で瞳美の手を握ったのも唯翔から。

このあとのおばけ屋敷で手を引くのも唯翔です。

 

それだけに前回の話で紙飛行機に『会いたい』と記して、走って唯翔の胸に飛び込む。

そのシーンに大きな衝撃があるのですね。

瞳美から飛び込んだ、動きのあるこのシーン。

大きなインパクトがありました。

 

あったのですが……

よく見ていくと、見た目ほど自主的なシーンではありません。

そもそも会いたいと書いて手紙を送ると言う行為は、そこに「相手から会いに来て欲しい」と言う期待があるように思います。

 

「それは言い過ぎだよ……」と思う方がいるならば、こう言い替えてみましょう。

 

願いが叶うなら、会いたい

会えるなら会いたい。

 

それは『どうしても会いたいんだ!』と動き出してしまうような強い思いとは、やはりちょっと違うと思うのです。

 

今度は自分で自分に、知らずのうちに魔法をかけて飛び込むのではなく、瞳美から唯翔

の手を握りにいくような、自発的で主体的な行動が見たいし、ラストの前にはそういう

シーンがあるのではないかと勝手に期待しています。

 

 

 

「帰る用意できてるの?

 明日は後夜祭のあと、そのまま出発するんでしょ?」

「荷物は持っていけないので、置いて行きます」

「明日があるんだから、帰る帰る言わないでよ!」

「そうだよなぁ、大事な家族なんだから。

 せっかくの料理だ、早く食べよっか。

 いただきまーす」

 

そこへチャイムが鳴り、完成した星砂時計が届けられます。

 

 


所変わって、唯翔の部屋。

 

「いま、俺にできること」

 

タブレットに向かって描き始めます。

それは先輩が言っていた、「誰かのために描くこと」。

瞳美のための絵ですね。

 

 


タイトルが。

 

光る光る

この一日が

光る

 

 


「ヤバイヤバイ!

 すごい並んでる」

 

2日目の文化祭は、昨日の評判が人を呼んで大行列です。

そんな忙しい中でも、瞳美を、唯翔を想う部員たち。

 

「自由時間?」

「瞳美ちゃんと唯翔先輩に、少しだけでも、文化祭回ってもらいたいなって。

 余計なお世話かもしれないけど」

 

「翔くんが嫌なら、やめます」

「いいんじゃない」

 

「知ってたんだな。

 悪かったな気を遣わせて」

「誰かを好きになって、悪いなんてことないです。

 ちゃんと伝えた将君のこと尊敬します。

 いつか私も、自分に自信を持てるようになったら……」

 

あさぎの「いつか」は近そうです。

 

 

背中を押されて教室を追い出される、瞳美と唯翔。

 

 

「結局、唯翔先輩ってどう思ってるんだろう?」

「あいつ、余計なことを考えてそう」

「余計なこと?」

「『帰る前に気持ちを伝えたって、きっと相手に迷惑だろう』とか」

「あぁ、当たって砕けるのもカッコいいですよね、先輩。

 潔くって、俺は好きです」

 

将と千草が唯翔のことを語ります。

 

「2人には時間がないから、幸せになって欲しいんです、少しでも。

 これからの分も」

「その気持ち、伝わるといいなぁ。

 誰か見ててくれたとか、好きって言ってくれたとか。

 そういうのって、思い出すたびに、宝物みたいに自分を支えてくれるからね。

 しんどいとき、地味に効く、クスリ!」

 

姉と比べてしまい、胡桃がへこんでいたとき……

合宿の夜に千草と橋を駆けた時の回想が挟まれます。

 

「どれもいい表情してるでしょ。 何もなくてもいいんじゃね。

 こんだけいい顔できるんだから」

 

「好きな度合いなんてみんな違うし、ほかにもっと好きなものできるかもしれないし、そんなの、いますぐ決めつけなくてもいいじゃん!

 焦んなくても大丈夫っすよ、先輩なら」

 

色づく世界の明日から 7話感想、考察 - 響け! 心に!!

 

 男子チームのあとは、女子チームの番。

あさぎの気遣いに賛同する胡桃。

さらに胡桃が語り、あさぎが経験者の言葉をありがたーく頂戴します。

 

男子チームも女子チームも、後輩が先輩を慕う様子が描かれていて、おなじ構造ですね。

 

 

 

送り出された2人は、強引な勧誘によっておばけ屋敷に入ります。

 

骸骨に驚いて唯翔にしがみつく瞳美。

 

「たぶんこっち」と手を引いて、暗闇から光あふれる出口へと導く唯翔。

 

「話したかった。

 あの日からずっと、大切な人。

 明日から、遠くなる」

瞳美のモノローグ。

 

 

 

このおばけ屋敷は短いシーンですが、過去の世界の旅のダイジェストでしょう。

突然何もわからない暗闇のような過去の世界に放り込まれ、辿り着いた唯翔の部屋。

唯翔の絵にどうしてか色が見えて、それをずっと追ってきた瞳美。

前で手を引く唯翔に、追いかける瞳美。

その旅も、終わりが間近に迫っています。

 

 

 

 

おばけ屋敷から出て、並ぶ2人。

どちらからともなく手を放します。

廊下は左右に広がり、正面には窓。

2人が前へと進む道はありません。

 

「ほかも見てく?」

「楽しかったから。

 戻らなくちゃ」

 

2人に迫る別れのリハーサルです。

この別れ方で、いいのかな?

 

 

 

琥珀の家族も訪れ、別れを済ませます。

南輝祭も終わり、後夜祭へ。

 

文字通りの、打ち上げ花火。

琥珀と共同作業です。

 

1話では、花火を見にクラスメイトたちと階段を上っていくことはできませんでした。

大勢の楽し気な人の中で、暗く寂しそうだった瞳美。

この後夜祭では、仲間を得て盛大な花火を打ち上げる、まさにその中心にいます。

 

屋上で、仲間たちと共に……

瞳美はこれまで登れなかった場所に、過去の世界に来ることによって辿り着くことができました。

 

だから……

色づいていくのです。

 

「みんなの役に立てて、すごく嬉しかった

「俺達も楽しかった。

「忙しかったけど、面白かったし」

「ホント、2人の魔法のおかげ」

 

ウルッとする瞳美。

 

「ドキドキするの、嬉しくて暖かい。

 なつかしい気持ち」

「それってしあわせ、なんじゃない?」

 

ハッと見上げる瞳美。

その目に映る大空には、色づく花火が!

 

「色が、見えるの。

 違う、ぜんぜん」

 

号泣して喜ぶ瞳美。

 

 

 

最後の別れ、儀式へと向かう部員たち。

 

瞳美はふたたび色が見えなくなります。

別れを直前にして、幸せとはちょっと違う状況です。

 

 

 

「違う、わたしが帰りたくない本当の理由は……」

心残りを自覚する瞳美。

 

ステージの上では琥珀と瞳美が。

放射状に伸びるレンガの敷石が5本。

そのの上に、千草、胡桃、唯翔、あさぎ、将が並びます。

 

「これから、時間魔法の儀式をはじめます。

 みんなも協力してくれる?」

 

「瞳美、心の準備はいい?」

 

「心残りがあるとすれば、それは1つだけ。

 いつまでも消えない、恋という花火」

 

 

 

瞳美の心残り。

昨夜描いたはずの、唯翔の絵。

時を超える2人の出会いと恋は、いったいどんな結末を迎えるのでしょうか?