色づく世界の明日から 9話感想、考察
今回は瞳美の希望で、将と撮影スポットをめぐることになります。
ふと視線を落とした写真には、唯翔と瞳美の姿が。
将はあきらかに唯翔を意識してますね。
そして『意識されていないもの』もあります。
2人の手前にはペンギンの姿が。
このペンギン、唯翔と瞳美に被るようにして「わたしを見て!」と言っているようですね。
その姿はあさぎそのものです。
シーンが変わります。
あさぎはパソコンで、「どの子を文化祭でお披露目しようか迷っちゃって」と、ペンギンの写真を選んでいます。
「えぇ!
全部おなじペンギンでしょ」
千草には違いがわかりません。
「うわぁー、違いのわからない男」と、胡桃のセリフ。
違いがわからないのは千草だけでなくて……
おなじ男である将も、わかっていない、いや、気づいていないというべきか?
ペンギンをあさぎと見立てるなら、将は大事なことに気づいていないと言えます。
同時に『あるはずの違いに気づいてもらえない』、あさぎのアピール不足とも言えるのかもしれません。
そしてその中には、ペンギンの区別がつかずに胡桃に叱られる千草であったとしても、きっと見れば『違いの分かる写真』が混ざっています。
あさぎの写真の中の将の姿。
その視線は、雄弁です。
見つめる先には、瞳美がいました。
オープニングが終わって、路面電車を待つ将と唯翔。
瞳美の変化が語られます。
「あいつ、最近よく笑うようになった」
「ああ、クラスでもちょっと話題になってるって、あさぎが言ってた。
最初は人形かってくらい静かだったのにな」
「唯翔!
黙ってるのも気持ち悪いから、先に言っとく。
俺、明日、瞳美と2人で出かけるから」
信号で停車した車内で、「なんで俺に言うの?」と将に尋ねる唯翔。
停まった電車は、唯翔のとまどいとか、動揺といった気持ちをあらわしているようです。
「悩んだり迷ったりって好きじゃないんだ。
もうすぐ引退だし、受験もあるし……
あんま時間ないから、後悔だけはしたくない」
それを聞いた唯翔は、自分と比べているのか? 浮かない表情です。
「そうか……
頑張れよ」
「へー、将さんと撮影会するんだ」
「2人で?」
「うん」
「そっか……」
琥珀は複雑です。
当日、いざ2人でデート。
将は市内撮影スポットマップまで用意して、かなり力が入ってますね。
各地を回る2人。
それを覗く影2つ。
胡桃と千草はこういう役が似合います。
いつぞやとおなじように、コーヒーを公園まで出前させたのでしょうか?
「いちおうこの事は他言無用ね」
「あぁ、あさぎ先輩?」
「気づいてたの?」
「気づくでしょ、ふつう。
わかってないの、あの鈍感ズだけじゃない?」
ひどい言われようですがまぁ、仕方がありませんね。
1日の最後に、お気に入りの場所に案内する将。
お気に入りですから、これまでに何度も行っている場所のはずです。
それはやはり、あさぎとも?
夕日を浴びて語り合う2人ですが、将は瞳だけの事について語ります。
(厳密には「昔のあさぎ見てるみたい」と引き合いに出してはいますが)
「瞳美のそういうとこ、いいと思う」
それを受けた瞳美は、先輩が、みんなが、琥珀が……と、自分以外のみんなを挙げます。
「1人だったら、ずっと変わらなかった」
話は噛み合っているようで、噛み合っていません。
陽が落ちて、路面電車から降りた将は、瞳美に思いの丈を告げます。
「本気で言ってる。
俺と付き合って欲しい!」
「ご、ごめんなさい」
逃げ出す瞳美。
「急に言われても、そんなのわからない」
『急に』、ではないと思いますけどね。
動揺して逃げ出した瞳はさまよい歩き、琥珀が心配するような遅い時間に戻ります。
翌日の下駄箱前でも、まるで壊れた人形のように靴を落としてしまいます。
さらに将がやって来て……
「また逃げちゃった……」
「将さんびっくりしてたよ」
「あのね、例えばの話だけど、琥珀は誰かに好きって言われたことある?」
「はい来た!
やっぱりそういう話か」
「でも、琥珀は付き合う気がなくて、でもその人のことは尊敬してて、傷つけたくなくて……
どうすればいい?」
「うぅん、私ならそういう話は、もうちょっと人のいないところでするかな」
集まる女子に、うなだれる男子たち。
「月白シスターズ休みだし、今日は部活解散したそうですよ」
「2人とも休みなんて、珍しいな」
「何かあったんですかね。
気になる〜ぅ」
何かあったことを知っている千草は、唯翔を煽ります。
その結果、謎のお会計をかます唯翔
「100,080円になります」
夕方の部室で語る、あさぎと将。
「ここ、また行ったんですね」
「好きだからな」
「昔はよく、一緒に撮りましたね」
「俺の趣味に付き合ってくれたのなんて、あさぎくらいだよ」
「ですね」
「写真てさ、おなじものは撮れないんだよ。
夜景も、いろんな人が生活していて、昨日までついていた灯りがが今日は消えてて。
気付いたら、もう二度とは見られない景色に変わってて」
瞳美に逃げられ、避けられ、部活まで危うくなってしまう現状。
将は、写真のことに重ねて、不安な心中をあさぎに語りました。
瞳美はもう部活に出ないのでは?
瞳美の笑顔を見ることはないのだろうか?
そして、そんな将の様子がおかしいことに気づくあさぎ。
「なにか、考えごとですか?」
放課後、あさぎは黄昏る瞳美のもとへ。
瞳美もまた、様子がおかしい1人です。
「あさぎちゃんは好きな人とかいる?
告白とかされたことある?」
思い当たることがあって、さらには瞳美のカメラの画像には、将の好きな場所の写真が証拠のように映っています。
ショックな事実に気づいてしまったあさぎは、将にずっと言えずにいる思いを、瞳美にぶつけます。
将の告白に続き、あさぎの明確な「好き」という想いに触れてとまどう瞳美。
「わからない。
そういうの考えたことないから……」
瞳美が自分のことについてネガティブになり、暗転する夕暮れ。
「私には好きになってもらう資格も、好きになる資格もないから」
「ダメですよ! 考えなきゃ!
その人が、かわいそうだから」
普段は声を荒らげないあさぎの、らしくなような強い言葉。
それは逃げ続ける瞳美の心に、力強く刻まれます。
琥珀に、あさぎに背中を押され、自分を見つめなおした瞳美。
「わたし、ズルいんです。
先輩のこと傷つけたくないって言い訳して、先輩の気持ち、ちゃんと考えられなくて。
自分のことばかり悩んで、なのに大事なことから目を逸らしてばかりで。
わたし、わたし……」
「気になる人がいます」
正面から向き合い、握手を交わす2人。
……とはいっても、将はフラれた訳で。
「吹奏楽部、気合い入ってるね」
唯翔がそう評価した吹奏楽部の音出しを、叫び声で吹き飛ばします。
青春の絶叫ですねぇ。
スッキリした屋上と対照的に……
下の玄関口では、部活を休んで逃げようとしたあさぎは、瞳美に捕まってしまいます。
「わたしね、好きだったんです。
翔くんのこと」
こうして鈍感ズの1人、瞳美はいまになってやっと、衝撃の事実を知ることになったのです。
さて、瞳美と将の話はこれでおしまいです。
しかし、今回の告白の余波を受ける人物が2人。
派手に影響を喰らった、あさぎ。
「すごいな、おまえ」、と自分と比べていた唯翔。
さて、この2人の明日はいったいどっちにあるのでしょうか?
では、今回はこんなところで失礼しましょう。