響け! 心に!!

なんで「響いたのか?」をしちめんどくさく考えてみる、メンドウな人の考察。アニメ中心考察予定です。

色づく世界の明日から 7話感想、考察

バレを含みます。

セリフは適当聞き起こしです。

 

 

「あのとき見えた色は、またすぐに失ってしまった」

 

 

あれほど色づいた世界ですが、それは一時だけのこと。

琥珀に問われますが、色が見えたきっかけも、なんで見えなくなったのかも、瞳美にはわかりません。

 

落ち込む瞳美を励まそうと、魔法の星占いをする琥珀。

 

「いまを楽しく受け入れましょう。そうすれば色づく世界があなたを待っています」

 

適当な結果で励まします。

その内容とは、過去に飛んだ瞳美のいまをあらわしているにすぎません。

せめて『楽しくいこう!』ということですね。

 

なぜなら……

明日から夏休みです!

 

 

 

模試の結果が良くなかった胡桃ですが、「こーの暑いのによくやるな」という琥珀のセリフのとおり、この時点ではまだ元気です。

 

 

 

「毎年このキャンプの仕切りは、次の部長に任せてるんだ」

 

部の恒例のキャンプのようですが、あさぎが次期の部長に指名されます。

とまどいの視線を送るあさぎですが、将は真っ直ぐに見つめて信頼を示します。

そこには茶化すとか、子供をからかうような意図はありません。

 

「私も協力するから」とフォローする瞳美がそのまま副部長になります。

 

 

 

琥珀の父親からタブレットを借り受ける瞳美。

さっそくアプリにあげられた去年のキャンプの写真を見て、思います。

 

「これ、青空?

 それとも夕焼け?」

「夕焼け。

 きれいな茜色」

「おかしいよね。

 少し前までは色がないのが普通で、空が何色かなんて、気にしたことなかったのに。

 いまは、どんな風に見えてるのか知りたい

 

 

 

『大事な人は遠く離れて、いつの間にか世界は色を失っていった』

『私は大丈夫。

 一人でも平気。

 言い続けているうちに、だんだん本当になっていく。

 これも魔法のせいなのかもしれない。

 自分を守る、ささやかな魔法。

 魔法なんて大嫌い。

 私が魔法使いじゃなかったら、花火は、いまもきれいだったかな……』

 

1話の冒頭から引っ張ってきましたが、過去に来る前の瞳美は世界の色が見えないことを、『誰かのせい』、『魔法のせい』だと、責任を自分の外に置くことで受け入れていました

 

しかし過去に来ることで環境が大きく変わり、瞳美に変化が生まれます。

それはさらに、『唯翔の絵を見たい』から、『世界の色を知りたい』に変わっていきました。

だんだんと、『欲』が生まれてきます。

『欲』というと良くないことのようですが、それは積極性や自主性につながるものでもあります。

消極的過ぎたかつての瞳美からすれば、『知りたい』ということは大きな成長なのです。

 

 

 

「色が見えないこと、ずっと隠してたのに……

 もっと早く話しておけばよかった」

「うつむいてるだけじゃ何も変わらないよ。

 大事なのは、これからだから」

 

琥珀は瞳美の主体性を促します。

 

 

 

公園にアイスコーヒーの出前を頼む胡桃。

 

「俺にあまり会えなくて寂しいとか?」

「はいはい、昼間もあったでしょ。

 バカがうつる」

 

ここまではいつも通り。

 

帰りを心配する千草。

父親が迎えに来るという胡桃。

 

しかし迎えにやってきたのは、父親ではありません。

パティシエの夢を叶え、楽しく頑張る姉でした。

その表情は輝いていて、「いい顔してると思って」と胡桃はパチリと写真に収めます。

 

「楽しいんだよね。

 好きなことやって、喜んでくれる人がいて、それだけで頑張れるもん。

「ん、なんで撮るの?」

「いい顔してると思って」

「胡桃もすきなことやりなよ。

 お父さんが反対しても、私が味方するから」

「うん」

 

このシーンでは、姉の顔に夕日が当たり、胡桃の顔には濃い影が。

 

 

 

いよいよキャンプ開始です。

快晴の夏空です。

絶好のキャンプ日和。

受付を済ませ、移動する部員たち。

 

一人遅れ、視線を落とす胡桃。

心配して声を掛ける千草。

様子がいつもと違うようです。

 

 

噛み噛みの次期部長の挨拶。

最初からうまく……とはいかないようですね。

 

 

食事の担当は胡桃と千草のよう。

 

「そういや先輩、お姉さんなんかいたのね」

「言ってなかったっけ」

「聞いてない聞いてない。

 何してる人?」

「パティシエ。

 ブルティコロールってとこで働いてる」

「マジ!

 そこ知ってる、うちのクラスでもファンの娘いるし

 ほら!

 いまこれがいちばん受けてんでしょ」

 

あっという間に見つけて差し出される写真。

 

「それ、お姉ちゃんが考えたやつだ」

「おおーっ、スゲッ」

「ほんとすごいよ。

 昔から何でもできて、いまの時期にはもう将来も考えてて、夢ちゃんと叶えて。

 憧れちゃう」

 

「よく見たら似てるような似てないような」

 

胡桃は千草から、顔を背けてしまいます。

 

「似てないよ、ぜんぜん。お姉ちゃんと違って、私はなんもないから」

 

ここでわかりやすく、7話のタイトルが。

『ヴィーナスの重荷』

 

輝く姉とは、憧れであり、近すぎて眩しく、重く……

自分と比べてしまう胡桃の苦悩がここにありました。

 

 

 

場面は変わってバーベキュー。

胡桃は引きずっていて、いつもと違う反応を千草に返してしまいます。

予定調和のようないつものやりとりに、ほころびが……

 

あれ?

どうした?

という雰囲気の部員たち。

 

胡桃が取り繕うも『時すでに遅し』です。

 

食後に心配した瞳美が、「胡桃先輩、どうかしましたか?」と声を掛けます。

 

「知ってる?

 山吹と葵の進路」

 

「2人とも、なんかお姉ちゃんとおなじ顔してる」

「お姉ちゃんですか?」

「うん、私の憧れ」

 

やりたいことに進もうとする、唯翔と将のシーンが挟まれます。

 

「でね、やりたいことにまっすぐで、いつも全力で」

「パワフルなお姉さんなんですね。

 琥珀みたい」

「あー、ちょっと似てるかも。

 好きだから、夢だからって、それだけでドンドン前に進んでいけるんだよね。

 そういうの、うらやましい。

 いいよね、本気になれるって。

 私にはそこまで好きになれるものってないから」

 

「やりたいことないんだ、わたし。

 だから勉強も身が入らないのかもね

 

胡桃の極私的な内緒話を、しっかり聞いてしまう千草。

 

 

忘れてました。

ここは魔法部でもあるんでしたね。

砂浜で琥珀が魔法を使います。

 

「思い出を閉じ込める魔法。

 いつか、またみんなでこの星砂をつかって、今日のことを鮮明に思い出せるように。

 時間魔法の初歩中の初歩なんだって。

 瞳美にもあげる」

 

「 私もいろんな魔法が使えたら、もっと胡桃先輩の力になれたのかな……」

そんな瞳美のモノローグ。

 

 

そんなことを思う瞳美の元へとやってきたのは、唯翔です。

 

「やっと月白に見せられるもの、できたかなって」

「うれしい」

「たくさんの色が」

 

「その絵、わたしに色を教えようとしてくださったのですね。

 ありがとうございます」

 

瞳美は自分のために唯翔が特別な絵を描いたことに気づきます。

そして同時に、琥珀が夏休みの前日にしてくれたことも思い出したのでしょう。

 

自分のためにしてもらえたことが、『じゃあ、胡桃先輩のために自分に何ができるのか?』という、瞳美自身の問いにつながります。

そして瞳美は大事なことに気づきます。

 

気づいた瞳美は、琥珀や唯翔のしてくれたことの『恩送り』をするかのように、胡桃先輩を探します。

 

「胡桃先輩、こんなところに来てたんですね」

「どうしたの?」

「星占いやりませんか?」

「ハッ!?」

「先輩何座ですか?」

「てんびん座だけど」

 

アズライトが輝き、占う瞳美。

 

「いまを楽しく受け入れて、そうすれば色づく世界があなたを待ってます」

 

琥珀とおなじように、占いそのものの結果ではなく、励ましの言葉を贈る瞳美。

『魔法で何ができるか』が大事なのではありません。

思いやること、言葉、行動……

こういったことが大事だと、瞳美は気づいたのですね。

 

胡桃はその気持ちが嬉しく、瞳美に抱きつきます。

 

「もーっ、後輩たちに気を遣わせちゃって、ほんとダメだな、わたし。

 元気出た!」

 

 

 

そして胡桃にまつわる話の最後は、やはりこの人、千草の出番です。

胡桃の輝いているところを一番知っているのは、胡桃の姿をたくさん写真に収めている千草以外にいません。

 

カメラを構えている写真。

グラバー園のコスプレ写真。

悪態をつく姿。

琥珀の魔法のお化けに驚く姿。

 

「どれもいい表情してるでしょ。

 何もなくてもいいんじゃね。

 こんだけいい顔できるんだから」

 

 

 

「好きな度合いなんてみんな違うし、ほかにもっと好きなものできるかもしれないし、そんなの、いますぐ決めつけなくてもいいじゃん!

焦んなくても大丈夫っすよ、先輩なら」

 

 

たしかに思い描いていた予定とは違って、夢の船は先に出航してしまいました。

その船には間に合わないようです。

しかし、胡桃には「胡桃っちの走るペースに合わせてたからじゃん」と千草が言うように、胡桃のペースがあるのです。

 

「ここから見える景色も、十分きれいですよ」とあさぎ。

「いいじゃん、これ」と認める胡桃。

 

胡桃のペースで走るそのまわりには、魔法写真美術部の仲間がいます。

一緒にキャンプをしたり、荷物をほっぽり出して走ったり、バカを言い合えるような、そんな楽しい仲間が。

 

それは振り返ってたしかめてみれば、『いいじゃん、これ』という、貴重な時間です。

 

 

 

胡桃の話が落着したところで、『いいじゃん、これ』と言えない状況にある人……

 

つまり瞳美が声をあげます。

 

「あのッ!!

 その夜景、いま皆さんにはどんな風に見えてるんですか?

 わたし、私、皆さんに話したいことがあるんです」

 

どんな風に見えてるのか知りたいならば、世界を色づかせたいと瞳美が願うならば、いままでとおなじではいけません。

 

おなじことをしても、おなじ事しか起こりません。

世界を変えるには、心を。

心が変わったなら、行動を。

一人でどうしていいかわからないなら、協力を。

 

変えようとすることでしか、世界は変わらないのです。

 

 

 

こんなところで、今回は終わりです。

 

『時間魔法の初歩中の初歩なんだって』ということで、琥珀が時間魔法を使い、思い出を閉じ込めていました。

こうしてとっておきたいような想い出が集まるたび、世界は色づいていくのでしょう。

しかし同時にそれは、いつか来る別れが辛くなることを意味するようにも思われます。

 

だんだんと進む季節。

溜まっていく写真に絵、そして想い出たち。

 

さて、この先はどんな未来が待っているのでしょうか?