劇場版 響け!ユーフォ考察 サンライズフェスティバル編~果たして久美子はリセットできたのか?~
- この記事は、作品の具体的な内容に、深く、大きく関わります。
「バレは困る!」という方は、残念ですが視聴後にご足労いただければ幸いです。
- セリフはすべて聞き起こしです。
間違いもあるかと思われますが、ご容赦ください。
- 当方の視聴順や知識について
まず、「響け! ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~」
続いて「響け! ユーフォニアム ~届けたいメロディ~」
アニメ1期 → アニメ2期3話までです。
なんで面白く感じたのか?
それを考察してみたいと思ったゆえに、3話で中断です。
原作については、未読です
また、リズと青い鳥も見ていません。
サンライズフェスティバル編~果たして久美子はリセットできたのか?~
ここまでは物語のきっかけ、久美子の現状、吹奏楽の現状についての話でした。
ここから先は、久美子と高坂さんが実際に絡み、物語が動いていきます。
はたして久美子は、リセットできたのか?
どうして久美子は高校入学にあたって、リセットしたかったのでしょうか?
なにか恥ずかしい失敗をしたから?
いじめられていたから?
喧嘩をしたから?
そうではありませんよね。
そういった理由は描かれていません。
あがた祭りで名前呼びに変わるまで、久美子は明らかに高坂さんを避けています。
それも大げさで、過剰な反応を示すほどに。
暴れん坊将軍のテーマで歓迎した吹奏楽部を、久美子が教室で振り返り思い出したとき、浮かんできたのは高坂さんの泣き顔です。
自分が吹奏楽部に入るかどうかを決めるのに、本来は高坂さんのことなど、考える必要はないはずです。
多数決で目標を決めるなら、自分の意見に基づいて手を挙げればいいのではありませんか?
しかし気になってしまっているから、反射的に思い出されるのです。
嫌な思い出やショックな出来事とは、思い出そうと自分から意識して、その結果で思い浮かべるものではありません。
はからずも浮かんでしまうものなのです。
だから嫌なのです。
見学に行った久美子たちのいる音楽室に、高坂さんが入ってきたシーンの驚きようは普通ではありません。
そのあと、川べりのベンチで久美子が漏らした言葉。
別の高校に行くはずだと思っていたのに、いったいどうしてここにいるのか?
そんな意味のセリフを吐いています。
高坂麗奈が黄前久美子に与える影響とは、甚大です。
そもそも直接話したり、喧嘩したり、牽制されたり、嫌がらせを受けたりしているわけではありません。
ただおなじ高校で、おなじ吹奏楽部で、高坂麗奈は高坂麗奈自身の判断で行動しているだけです。
久美子へ働きかけをするシーンは、ひとつもありません。
それなのに久美子は、一方的に反応しています。
とても気にしています。
中3のコンクールから、入学式のあいだ。
その期間とは、劇中では語られていません。
ですから、これはあくまでも推測になります。
おなじ中学校で、おなじ学年で、吹奏楽部の同期。
であるならば、部活動が終了したあとであっても、校内でふと見かけたり、おなじイベントに参加したり、友達との会話で話題になったりすることもあるでしょう。
ましてやちょっと癖のある、高坂さんのことです。
高校に入学してからのように、モロに影響を受けることはないかもしれません。
しかし、部活の引退後、まったく何も影響を受けなかったとは考えにくいでしょう。
その影響は、確実にあったと考えるべきです。
見かけるたび、話題になるたび、久美子は後ろ暗いような、モヤモヤするような、ヘンな気持ちになったことでしょう。
だからこそ、いない高校でリセットしたかったのです。
そしてリセットしたくて入ったはずの高校で、久美子は自分に衝撃を与えた高坂さんと、再び出会ってしまいます。
つまり、リセットできなくなったのです。
高坂さんがいない高校であれば、時間と共に昔の自分にリセットできたかもしれません。
しかし、高坂さんがおなじ吹奏楽部にいるいま、もうリセットすることはできません。
久美子は高坂さんと対決……
……というと大げさですが、近い距離感でかかわらずにいられなくなってしまいます。
事実、久美子は事あるごと反応しています。
目標決めのシーンでも、駅で出会った秀一に「高坂のことなんだけどさ」と話しかけられ、喰いつくように反応するシーンでも示されますが、久美子は高坂さんが気になって仕方ないのです。
サンフェスで立華のあずさに会ったとき、久美子は『リセットしたかった』とは語りません。
北宇治の仲間を、高坂さんを見て、答えます。
「とくに意味ないんだけどね。
私が北宇治を選んだ理由。
スタートしたかったの」
逃げられない久美子が、この場所で、この仲間たちとやっていく。
高坂さんと向き合う。
そういう覚悟を示したシーンです。
『なかったことにして元に戻す』のがリセットなら、『起こったことを受け入れて新しくはじめる』ということがスタートです。
それはまったく違うものなのです。
つまり結論からすると、「久美子はリセットできず、別の道を見つけた」ということになります。
さて、次回はそんなサンライズフェスティバルについて、順を追ってみていきたいと思います。